ゼネラルモーターズ、クライスラーと並ぶ「ビックスリー」のひとつに数えられるフォードモーター。世界初の大量生産体制によって生産されたモデルT,労働者の最低賃金を1日5ドルまで引き上げるなど創業者の企業と労働者がともに繁栄するという理想をもとに発展してきた。フォード社はまさに20世紀前半のアメリカを体現したような存在でした。フォードモデルAはフォードの看板商品であったモデルTの後継車として発表されて大きな人気を博し、１９２８年から１９３１年まで生産された。アメリカの繁栄から大恐慌までを経験し，一時代を築いた名車である。今回展示の車１９２９年フォードモデルAはすべての部品が当時の純正品であり,一つ一つの小さなねじまでもが出荷当時のままである。非常に大切に保管されていたため長い年月を得た今でも当時の職人の技術,そして職人たちが車にかけた思いが車に体現されている。フォードモデルＡはもう車としての意味を持つだけでなく,実際に触れたり動かしたり出来る世界でも数少ない芸術品であるとともに一つの時代の繁栄と衰退,そこに暮らす人々の生活を感じ、体験できる歴史的遺産車である。